最低賃金以下で働かされている場合の確認方法と対処法

最低賃金とは使用者(雇用主)が労働者に支払うべき賃金のことを言う。そのため最低賃金以下で働かされている場合は労働基準法違反。

どんなことがあろうとも、労働者を最低賃金以下で働かせることはできない。そのため、もし最低賃金以下で働かされているなら、労働基準監督署に相談し会社へ抗議を申し立てよう。また改善されるだけでなく、その事実が発覚したときは最低賃金に満たない分(未払い分)を請求することもできる。

「最低賃金」の確認方法

何をもっと「最低賃金」であるのか、範囲や計算方法について理解する必要がある。具体的には、以下の賃金を除外した賃金。

  • 結婚手当などの臨時的な賃金
  • 賞与
  • 残業、深夜給、休日出勤等の時間外手当て
  • 通勤手当、家族手当など

詳しくは「最低賃金の対象と賃金」を参考。月収制・年俸制であっても、時給換算した金額で判断する。

最低賃金は地域・職種別で定められている

最低賃金法により、地域ごとに賃金の最低額が定められている。また特定最低賃金として、特定の業務についてさらに細かく定められている(職種別最低賃金一覧)。正社員・契約社員・アルバイトと全ての労働者が対象。

この最低賃金が「上がる」ことは十分考えられるが、「下がる」ことはほぼない。仮に下がったとしても大幅な減額は予定されていない。

みなし残業を差し引いたら最低賃金だった

固定残業代、いわゆる「みなし残業」を会社が基本給に上乗せして支給しているときは要注意。残業代を月給から差し引いたときに最低賃金だったケースは十分に考えられ、それを従業員が黙認又は妥協して受け入れていることが多い。

たとえば最低賃金が時給900円の地域で働いている場合、1.25倍の1125円が残業分の時給となり、残業代は45,000円。仮に給与が20万円で残業時間が40時間だと、次のように最低賃金以下であることが分かる。

200,000円(月給)-45,000円(残業代)=155,000円
労働時間を8時間×22日(月の労働日数)=176時間
155,000÷176(労働時間)=約880円

【参考】営業手当に含まれる残業代・年俸制の割増賃金の請求

労働基準監督署で雇用契約を無効にさせる

自分が最低賃金で働かされていることが明確になっているのであれば、証拠となるもの(以下)を揃えて労働基準監督署に相談しよう。

  • 会社で使用しているPCのログイン・ログアウト記録
  • 会社への仕事に関するメールの送信履歴
  • 会社からの電話の発信・着信履歴
  • 仕事上の出勤・退勤履歴(タイムカード)

労働時間の証明となるものには、制限が設けられていないため、言い換えれば些細なものでも証拠となる。また同僚や取引先の担当者からの証言も証拠となる。最低賃金で働かされていることがわかれば、いくら雇用契約を労使で結んでいようとも法律によって無効となり、改善義務が使用者に課せられる。

未払い賃金を雇用主に請求できる期間は2年

労働基準監督署に相談し会社へ調査が入り最低賃金で働いていたことが判明したときは、過去2年間分の未払い分まで請求できる。これは賃金請求権の時効が2年と定められており、使用者は労働者に未払い分を支払う義務がある(労働基準法115条)。

最低賃金以下の状況が改善されただけでは安心せず、細かく過去の履歴まで確認して、きっちり未払い分を残業代も含めて請求しよう。

転職が一番の対処方法

最低賃金で働かされていた会社が、労働基準監督署の調査が入りいくら改善されようとも、そうした企業体質である以上働き続けることにメリットはない。

未払い分を会社に請求し終えた後は速やかに転職の準備を始めよう。今回のように最低賃金以下で働かされていることが原因で辞めた場合、書類では自己都合退職でも会社側の都合であることには変わりない。そのため、いくら勤務期間が短くても事情を企業側に説明すれば、選考が不利になることはないだろう。