退職事由は自己都合?会社都合?転職時に有利になるのはどっち?

まず結論から。退職事由は「自己都合」を選択する方が個人のメリットは大きい。

会社都合にするメリットは失業保険を受け取ることができる程度で、転職を第一の目的とする場合は自己都合で穏便に済ませ、転職先を見つけることに時間をかけたほうが賢い。会社都合には、経営不振や倒産、解雇などその背景は様々。ただ会社都合退職が「解雇」となっている場合は、転職では圧倒的不利になってしまう。クビになった社員をわざわざ雇いたいと思う会社など存在しないからだ。

たとえ無理矢理自己都合退職にされたからといって、会社都合にさせるメリットも少なく、そもそも解雇として扱われる可能性のほうが高い。失業保険の支給条件を決めるのはハローワークであり、自己都合退職でも会社都合と同じ待遇を受けることも可能だ。

退職理由を「自己都合」から「会社都合」にするメリット

退職理由を自己都合から会社都合になることでの最大のメリットは、特定受給資格者及び特定理由離職者になれること。それに伴い会社都合退職の方には以下のメリットがある。

失業保険の開始期間が早く給与日数が長くなる

退職事由が会社都合と自己都合では失業保険や国民健康保険の扱いが大きく異なる。

会社都合 自己都合
支給開始日 離職票提出の7日後 離職票提出の3ヶ月7日後
給付日数 90~330日 90~150日
支給対象条件 雇用期間6ヶ月以上 雇用期間1年以上
最大支給額 約260万円 約118万円
国民健康保険税額 最長2年まで減額 通常額を納付

失業保険は会社に雇用され、雇用保険に加入していた期間で給与日数が左右される。会社都合の場合、たとえ雇用期間が1年に満たない短期間で辞めても6ヶ月以上であれば、全年齢を対象に90日まで失業保険を受けることができる。

しかし自己都合の場合、1年以上雇用されていないと支給されることもなく、給付日数も全年齢が同額。また30歳未満であれば雇用保険に10年以上加入し続けないと失業保険を6ヶ月以上もらうことはできない。

会社から解雇予告手当が貰えることもある

会社都合が解雇に該当する場合、最大30日分の給料が解雇予告手当として支給されるようになる。ただ、この場合は解雇通知を解雇したい日の30日以上前に予告できなかったときだけ。そのため「〇月〇日であなたを解雇します」と30日以上前に解雇予告をされていれば、解雇予告手当を支給されることはない。

会社都合に該当する正当な退職事由

一般的に「会社都合」として認められるケースが以下のとおりだ。

  • 会社の倒産
  • 事業所単位で1ヶ月に30人以上の離職、もしくは社員の1/3以上の離職
  • 事業所の廃止
  • 解雇
    ※違反や違法行為による懲戒解雇のみ自己都合扱い
  • 会社からの直接的・間接的な退職観奨

しかし自己判断で「経営不振になりそう」「倒産しそう」と思って退職することは全て自己都合として扱われる。

会社都合退職にするなら退職願・届は出さない
会社都合退職にできる場合でも、上記「⑤」のように会社から退職観奨を受けて、退職届・願を出してしまうと本人の合意のもととして扱われ、自己都合退職になってしまう。

自己都合でも失業保険における扱いを会社都合にできる

仮に会社から退職観奨を受けて、無理にでも退職届・願を出してもハローワークでの扱いを会社都合にすることもある。会社都合に該当するようなことや就業環境が自己都合退職に追い詰めるような内容であれば、失業保険では特定受給資格者及び特定理由離職者として扱われるのである。

  • 事業所の移転により通勤が困難になる
    ※自宅から会社との通勤時間が往復4時間以上
  • 給与や労働時間、業務内容などが契約内容と異なる
  • 給与支払いの遅延・滞納・未払い
  • 給与の減額(法律に反する減額)
  • 残業時間が45時間を越える月が3ヶ月続いた
  • 会社都合での休職が3ヶ月以上続いていた 他

こういった内容は、会社側が労働者を無理にでも自己都合で辞めさせるために取った悪質な行動と捉えられる。この証明となる就業規則や給与明細、雇用契約書などを証拠としてハローワークに提出すれば、書類では自己都合でも失業保険の手続きでは会社都合として扱ってもらえるようになる。

会社都合で退職事由が「解雇」なら転職では不利になる

あくまで自己都合退職が不利になるケースを説明してきたが、実際は会社都合でも不具合になることもある。たしかに悪質な行為が見つかればいいものの、基本的に会社都合退職は「解雇」として扱われることがほとんど。

会社都合にする会社全てが悪質なのではなく、本人の今後(転職活動)のために自己都合として扱うところもある。どうしても自己都合としてしか会社側が扱ってくれない場合は、退職届に「貴社からの退職観奨を受けて…」と一言添えておくだけで、会社との手続きとしては自己都合でも、後に失業保険を受ける際には会社都合となる可能性が高い。

転職活動は在籍中に行う

退職事由を自己都合と会社都合でトラブルとなるのは、退職してしまい就職の当てもないときである。在籍中から少しでも会社側から退職をほのめかす言動や行動があれば、すぐに転職活動に勤しむできだろう。

たとえ退職事由を会社都合にできたとしても解雇となっている場合は最悪だ。転職難となってしまい「自己都合にしておけばよかった」と後悔する方も多い。いくら失業保険を最大額まで支給されようとも200万円前後の金額で生活していくのは特に家庭があれば現実的ではない。

そのためにも在籍中から計画を立てて転職活動することが重要になってくる。もちろん1人で転職活動するには無理があるため、転職エージェントに頼り少しでも自分の負担を軽減させよう。