革靴の基本の種類10選とシーン別の選び方

革靴の基本の種類10選とシーン別の選び方

Leather shoes

革靴の種類は本当にさまざま。かたちや色が異なるのはもちろん、シーンに応じたものを選ぶことはとても重要です。TPOに合った革靴を履きこなせれば、一目置かれること間違いなし。

さらに長く続く革靴の歴史を知れば、「なぜこの場所ではこの靴が選ばれるのか」が理解しやすくなるでしょう。

そこでこの記事では、革靴の基本となる型と選び方、そして簡単な歴史をご紹介いたします。ぜひご参考になさってくださいませ。

革靴には種類があり、シーンに応じて選ぶ

革靴には基本の種類・デザインがあり、シーンに応じた革靴を選ぶことが大切です。

革靴の古い歴史の中で一大転機となったのは、19世紀初頭。産業機械が発明され、量産技術が格段に進歩したのです。現在まで続く革靴の生産方法は、20世紀に入るとほぼ確立されました。

デザインや製法は現代まで受け継がれ、10数種類の基本スタイルに落ち着いています。なぜそのデザインができたのか、理由や由来はそれぞれ。そのため、シーンに応じたデザインの革靴を選ぶことが、とても大切なのです。

革靴の内羽根式と外羽根式の違い

革靴の種類は大きく3つに分かれます。

ひも靴」、「バックル靴」、「スリップオン」。

その中で代表的であるひも靴はさらに、「内羽根式」と「外羽根式」に二分されます。

内羽根式(バルモラル)

内羽根式とは、靴ひもを通す「羽根」を甲革の内側に縫い合わせたデザインのこと。

後述します外羽根式との違いがわかりにくいかもしれませんが、甲側の羽根がきっちり閉じていることで判別できます。発祥はイギリス王室・スコットランドのバルモラル城から。そのため別名バルモラルと呼ばれます。

外羽根式よりもエレガントとされ、フォーマルシーンに向いています。ただしサイズの許容範囲は狭め。開閉する羽根の幅が少ないためです。

外羽根式(ブラッチャー)

外羽根式とは、靴ひもを通す羽根を甲革の外側に縫い合わせたデザインのことです。別名はブラッチャー。19世紀初頭、ナポレオンに対抗するプロイセン軍のブリュッヘル将軍が考案しました。

ちなみにイギリスでは、外羽根式のシンプルな靴全般を、ダービーと呼びます。競馬の「ダービー」を考案したダービー伯爵が、この靴を身につけていたことに由来します。

軍靴を由来とするだけあり、とても動きやすいのが特徴です。さらにひもの締め具合を調整しやすく、サイズの許容範囲が広くなっています。

こういった経緯から、内羽根式と比べてカジュアルな印象を与えがちです。履く場面にはご注意ください。

代表的な革靴の種類10選

長い歴史で、多種多様のデザインが誕生している革靴。ですがもちろん、現代での定番スタイルが存在します。その中から代表的な10種類をご紹介いたしましょう。

ストレートチップ(オックスフォード)

ストレートチップは、内羽根式の甲革に横一文字の切替(トゥーキャップ)を組み合わせたデザイン。もっともフォーマルな靴とされ、イギリス王室を発祥とする典型的な英国靴です。

17世紀中頃、イギリスのオックスフォード大学の学生が、ブーツに反対し短靴を履き始めました。そのころからストレートチップは、オックスフォードとも呼ばれるようになったのです。

日本国内ではひも靴の短靴を総称してオックスフォードと呼びますが、欧米では内羽根とキャップトゥを組み合わせたスタイルのことを指します。

黒のストレートチップは最もフォーマル。式典やビジネスシーンなど、かしこまった場面に。逆にブラウン系のストレートチップは、カジュアルシーンにも馴染みます。

ストレートチップはあらゆる場面に活躍する、もっとも汎用性の高いデザインなのです。

プレーントゥ

靴の甲革に装飾のないプレーンなつま先のデザインが、その名の通りプレーントゥです。基本は外羽根式ですが、内羽根式を組み合わせているものもあります。

このデザインは19世紀初頭・プロイセン軍で誕生しました。ナポレオン軍に対抗するブリュッヘル将軍が、ひも靴を作るよう命じたことがきっかけです。

ストレートチップの次にフォーマルなのが、このプレーントゥ。色や装飾の有無に注意すれば、ビジネスシーンからカジュアルシーンまで幅広く着用できます。

ウィングチップ

つま先の切り替えが、なめらかなM字に縫い付けられているデザインを、ウィングチップと呼びます。鳥が広げる翼のような優雅さですね。

革の切れ目をギザギザにするピンキングや、飾り穴(ブローギング)があしらわれた、華やかさが特徴です。通常のウィングチップは別名フルブローグ、ストレートチップに装飾を施したものをセミブローグと呼びます。

カジュアルシーンだけでなく、パーティーにも最適なデザインといえるでしょう。とはいえ、色や組み合わせるスーツを考慮すれば、ビジネスシーンでも活躍いたします。

Vチップ・Uチップ

Vチップ・Uチップは、甲革にV字またはU字のステッチが入ったデザイン。インディアンが履いていたモカシンの縫い目を、装飾へと転用したものです。

主にカジュアルシーンや、くだけた雰囲気のパーティーなどに活躍します。スポーティーでカジュアルな印象が強く、かしこまった場面には向きません。

モンクストラップ

モンクストラップは、甲をストラップとバックルで留めるデザインです。バックルがひとつの場合は「シングルモンク」、ふたつの場合は「ダブルモンク」と呼ばれます。

15世紀頃に修道士(モンク)が履いていた、ストラップ付きのサンダルが原型です。つま先に装飾のないプレーンモンクストラップはビジネスシーンに。華やかさもありますので、パーティーやカジュアルシーンにも活用が可能です。

ただし、バックルがカジュアルな印象を強めます。特に弔事などかしこまった場面では着用を控えましょう。

ローファー

ローファーは甲を留める靴ひもやストラップがない、スリップオンの一種です。アメリカンインディアンが履いていたモカシンを原型としています。甲にU字に縫い込まれたモカステッチと、甲を横にまたぐ甲ベルトが特徴です。

別名「コイン(ペニー)ローファー」とも。1930年代、甲ベルトにペニー硬貨をはさむことが学生の間で流行したのが由来です。

ローファーにはさまざまな派生型が存在します。甲に金属の飾りがついた「ビットローファー」、タッセルがついた「タッセルローファー」、などなど。好みや着こなしに合わせて選択するのも、楽しみのひとつです。

ただし基本的に、スニーカーに近いカジュアルシューズという位置づけです。ビジネスシーンやかしこまった場面には適しません。

チャッカブーツ

チャッカブーツは短靴とブーツの中間に位置する、すこし特殊なシューズです。くるぶしが隠れるアンクル丈の甲革に、靴ひもを通すアイレットが2〜3組の外羽根式のブーツのことを指します。

適度にフォーマル感があり、ビジネスシーンからカジュアルシーンまで幅広く着用でき、特に秋冬シーズンに活躍するでしょう。

サイドゴアブーツ

サイドゴアブーツは、その名の通り、サイドにゴムを取り付けたブーツです。ゴムのおかげで脱ぎ履きしやすく、フィット感も高くなっています。20世紀中頃、ヴィクトリア女王に献上されたものが起源です。

シンプルなプレーントゥはスーツやジャケットスタイルに、装飾のあるものはカジュアルシーンに。活用範囲が広いことが特徴です。

サイドエラスティック

サイドエラスティックとは、サイドに伸縮性のあるゴムを織り込んだ布(エラスティック)が取り付けられたシューズの総称です。脱ぎ履きが容易でフィット感も高く、実用性を重視して生まれました。

デザインが幅広いのが特徴で、同じサイドエラスティックでも、見た目は本当に個性豊か。ビジネス・カジュアル・パーティーシーンなどで活躍できます。

デッキシューズ

世界初のデッキシューズを開発したのが、アメリカのシューズメーカー「TOP-SIDER(トップサイダー)」。このデザインは、ヨットやボートの甲板(デッキ)で滑らないように、靴底が切り込みの入ったラバーソールになっているのが特徴です。水中で靴が脱げないよう甲に回して結ぶひもが付けられているほか、水に強いオイルレザーを使用しています。

モカシンタイプが多く、現在ではスニーカーのように普段履きで使われる革靴です。

革靴のシーン別の選び方

革靴の選び方は、デザインのフォーマル度で決定されます。絶対的な法はもちろんございません。しかし歴史の中で確立された「暗黙の了解」こそがマナー。シーンに応じて履き分けていきましょう。

ここで紹介した10種類の基本型の中から、さらに代表的な6種類をフォーマルな順に並べました。

  1. ストレートチップ
  2. プレーントゥ
  3. モンクストラップ
  4. ウイングチップ
  5. Uチップ・Vチップ
  6. ローファー

以上を踏まえて、シーン別の革靴の選び方をご紹介しましょう。

ビジネスシーン

ビジネスシーンでの革靴は、「ストレートチップ」、「プレーントゥ」、「プレーンモンクストラップ」の中から選べば間違いありません。この3種類はいずれもフォーマル度の高いデザインで、あらゆるビジネスシーンに活用できます。

特に黒のストレープチップは、もっともフォーマルで汎用性が高いデザイン。最初の一足を選ぶならこの靴です。基本にして王道を揃え、そこから色やデザインのバリエーションを増やしていきましょう。

冠婚葬祭

wedding

もっともフォーマルである「内羽根式+ストレートチップ+黒」を選ぶのが王道です。

特に、式典で着用するモーニングや礼服には、黒の内羽根ストレートチップ。夜に着用するタキシードには、エナメルの内羽根ストレートチップ(またはオペラパンプス)。 これらが基本のマナーとなっています。

冠婚葬祭では、カジュアルな靴や、殺生を連想させる靴を履いてはいけません。とくに弔事では、金属の飾りがあるモンクストラップや、クロコダイル柄などの靴の着用は避けましょう。

カジュアルシーン

カジュアルシーンに履く革靴に大きな制約はありません。しかし、カジュアルなパーティーやジャケパンスタイルで活躍するのが、「ウイングチップ」や「U・Vチップの革靴」です。

それらの革靴は華やかさもあり雰囲気が堅くなりすぎず、カジュアルシーンにマッチするでしょう。くだけた雰囲気のパーティー(結婚式の二次会など)であれば、茶系の革靴でもかまいません。

まとめ

長い歴史の中で、革靴はいくつものシーンに応じたデザインがつくられてきました。それ故に、着用する場面に応じて選ぶ必要があります。

絶対的なルールは存在しません。それでもシーンにふさわしい革靴を履くことで、他人からの評価も違ってくることでしょう。

あなたの革靴選びに、この記事が役立ったのであれば幸いです。

※参考書籍

  • 革靴完全読本 枻出版社
  • 紳士靴の教科書 (株)スタジオクリエイティブ
  • 紳士靴のすべて (株)グラフィック社 監修:山口千尋
  • 日本大百科全書