ガラスレザー(ガラス加工)の革靴のメンテナンス・手入れ方法

ガラスレザーは牛革にガラス状の板を貼り付けて、上から合成樹脂で仕上げた革のこと。

革靴の弱点である水を弾くため、汚れや水が染み込みにくいことが特徴(最近ではゴアテックス性能を施した革靴も多いが)。

「ガラスレザーはメンテナンスいらず」と言われたりもするが、この世にメンテナンスのいらない革靴なんて存在しない。ガラスレザーの光沢も履いていく度にその光度が落ちていくため、定期的に手入れする必要がある。

ガラスレザーの欠点は乳化性クリームが使えないこと

ガラスレザーの特徴である独特の光沢は一生続くものではない。一度色が剥げてしまうと、樹脂が邪魔して乳化性クリームでは染み込まず、補色することは難しい。

色を染み込ませる乳化性クリームでは、加工された樹脂の上にクリームが浮いてしまう。布で引き伸ばそうとすると逆に浮いたクリームを拭き取ってしまう。水性と油性が程よくブレンドされたクリームでないと上塗りできないので、専用のものを用意する必要がある。

また「合成樹脂で加工された革は水性タイプのクリーナーも弾いてしまうんじゃない?」と疑問に思うかもしれないが、そのとおりである。

ガラスレザーに水性タイプのクリーナーを使っても、落とせるのは表面に付いた汚れのみだ。しかしガラスレザーは樹脂で加工されており、汚れが染み込むことはない。そのためガラスレザーにとって表面の汚れが落ちるだけでも、効果的なメンテナンス方法になる。

ガラスレザーのメンテナンスにおすすめのクリーナー

クリーナーの中でも、一般的な革靴(ガラス加工されていない革)の汚れや古いクリームを落とすことに使われる「M.モゥブレィステインリムーバー」がガラスレザーでは活躍する。

そもそもガラスレザー用のクリーナーは存在しない。「ガラスレザー」というのは俗称であって、正式には「ガラス張りの靴」と表現したほうが正しいのだとか。従って、確かにデイリーメンテナンスは乾拭きや水拭きでも十分であるが、それは「汚れにくい」というだけで、元は「革」であることに代わりはないのだとか。雨や汗で内・外からの水害を完全にカットできるわけではないのだ。

そうした革靴のメンテナンスは、軟水をベースに作られたステインリムーバーを使うとソフトな使い心地で、汚れ落ちも良く革に優しくケアできる。また雨で染み込んだ、にじみ出る白い汚れ(塩分)も落とすことができるため、ガラスレザーであえて使うならこのクリーナーがおすすめ。

ガラスレザーの補色用マニキュア

油分ベースで作られている補色クリームをいくら使っても、ガラスレザーを補色することはできない。塗った油分が全て浮いてしまうため、クリームを染み込ませることができないのだ。

従って、私がおすすめするのはガラスレザー専用のマニキュア。中でも「M.モゥブレィレザーマニキュア」は補修塗料として使いやすく効果も高い。もともとは革の傷を補修するために用いられる塗料だが、色落ちした部分を上塗りする効果ももちろんある。ガラス加工されていても、関係なく補色できるため使いやすい。また、塗布部分にも光沢を出すことができるため、ガラスレザーにとって相性が良い。なお鏡面磨きに用いられるワックスの原料はどれもロウ(油分)をベースに作られている。輝きを出すために鏡面ワックスを塗っても、ガラスレザーの上にロウが浮いてしまうためNG。

ガラスレザーのメンテナンスは専用のアイテムを用意しよう

ガラスレザーのメンテナンスは、道具さえ用意できれば何も難しいことはない。デイリーメンテナンスは軽いブラッシングで十分だが、月1のメンテナンスではクリーナーもマニキュアも用意しておくと良いだろう。

ガラスレザーは確かに耐久性やメンテナンスの手軽さには長けているものの、ゴアテックス革靴のように、それに甘んじているとすぐに劣化してしまう。合成樹脂で加工されていようとも中身は革。ガラスレザーでも、輝きを取り戻し長く履き続けるためには、リムーバーとレザーマニキュアは必須だ。