ミンクオイルはビジネス用の革靴には使えない?意外な理由と正しい利用方法

革靴の手入れ方法について調べると、油分補給の手段として「ミンクオイル」がおすすめされていることが多々ある。

ミンクオイルは確かに油分補給に優れているし、浸透力や革を伸ばす力が抜群。しかしそれはオイルレザーのように油分が通常の革靴より多く含まれている革靴に限られる。また極度に乾燥した革靴の最終手段として用いるものに限定した方がいい。特に、もともと油分の少ないビジネス革靴や、普段のデイリーメンテナンスでミンクオイルを使うことはおすすめできない。

この使い分け・正しいミンクオイルの在り方を知ることが重要だろう。また油分はどんなに質のよいものでも時間が経てば酸化・腐敗に繋がるため、使いすぎると逆効果になり艶がなくなってしまう恐れがある。油分が多すぎると革が柔らかくなりすぎて形崩れてしまう可能性もある。

ミンクオイルの正しい使い方

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ミンクオイルの目的は「油分補給」。

恐らく、市販のどのオイルよりもミンクオイルがその目的遂行能力が高い。ただ、その能力の高さ故に、使い方を誤るとかえって革靴を傷付けてしまうことがある。私が考えるミンクオイルの使用用途は、

  1. 革が極度に乾燥しヒビ割れ寸前
  2. 普通のシュークリームでは革に浸透せず油が浮いてしまう
  3. 革が硬く靴擦れを起こしてしまうため馴染ませたい

などなど。普段の革靴の手入れで行うつや出しなどとは異なり、「応急処置」的な要素が高いのがミンクオイル。デイリーメンテナンスでミンクオイルを使っていると、確かに革のしなりや馴染みやすさは早まるかもしれないが、油染みやベタつき、浮き、などでかえって革靴の劣化を早めることになる。

ミンクオイルとシュークリームの違い

ミンクオイルは油脂が主成分とされていて、通常ワークブーツ等のオイルレザーの油分補給に使われる。

シュークリームは水・油脂・有機溶剤が主成分で一般的にはビジネスシューズやドレスシューズのスムースレザー用の保湿・補色といった用途で使用する。シュークリームをオイルレザーの革靴に使うことができても、ミンクオイルをその他の革製品に使うことはあまり適しておらず、革自体のツヤがなくなったり、型崩れを起こす可能性も高い。

オイルレザーのように革自体が分厚く油分も多く含まれているものはミンクオイルで油分の補給をすることが適していると言われている。

単純にビジネス革靴の手入れ用クリームを探しているだけならサフィールがおすすめ。ミンクオイルと比べると油分感は劣るが、ビジネス用のデイリーメンテナンスではサフィールで十分(むしろサフィールの油分感が最適)。ミンクオイルとシュークリームはそもそもの目的が異なるため、本来比較対象ではないが、解釈に誤解がある方が多いようなので補足した。

オイルレザーだとシュークリームだけじゃ足りないってこと?

サフィールなどのシュークリームはビジネス用の革靴に。プライベートで履くレッドウィングやティンバーランドのような分厚い革の靴にはミンクオイルが適している。

それぞれ特徴は異なるが、手入れ用品として大半は同じものが使える。しかし、クリームに関しては革の性質が違うため使い分けた方が結果的に良い。オイルレザーに対してシュークリームは使えても、油分の補給としては物足りない可能性がある。また、そもそも革自体が分厚いため、中まで染み込まない可能性もある。そういった場合にミンクオイルの出番。油分たっぷりのミンクオイルを一般的な革靴(ビジネスシューズ)には使えない。これだけは覚えておいて欲しい。