上質な革靴はソールまでレザーで作られているイメージがある(レザーソール)。ただ、それは完璧な作りを求めて作られたもので果たして耐久性・利便性はどうなのかと疑問に感じることが多いと思う。実際のところ、メリット・デメリットという機能的な観点でみるとゴム底の方がメリットは多い。
しかしゴム底の方はいわゆる経年による「味」を追求するものでもなければ、見た目や革靴ならではの「音」を楽しむこともできない。
「営業マン」という側面で見ると、個人的には機能重視のゴム底をおすすめするが、見られる立場にある方や、職種によってはレザーソールでバシッと決めた方がいい場面もある。本記事では革底・ゴム底のメリット・デメリットを紹介しているので、どちらがいいか考えながら読み進めてほしい。
革靴の底は大きく分けて2種類
革靴に使われている革底(ソール)には、革底・ゴム底の2種類がある。
革底 | ゴム底 | |
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メリット | ・ゴムに比べて通気性に優れている ・蒸れにくい ・高級感がある ・「カツカツ」といった音を楽しめる |
・グリップ力が強く滑りにくい ・自転車に乗ることができる ・革底に比べて耐久性が高い ・ソールの取り替え費用が安い(ただし交換できない種類が多い) ・耐水性能が高い |
デメリット | ・通気性が良い分、雨が染み込み易い(水に弱い) ・ゴムに比べグリップ力が弱く滑りやすい ・革底を取り替える費用が高い ・縫製方法によって張替えに価格差がある ・耐久性が低い、小石が埋まりやすい ※表面に使われている革に比べて固く加工されているものの、元は動物の革なのでコンクリートを歩いている内にすぐに痛み、小石等も挟まり易い ・メンテナンスが必要、レザーソール専用のクリームやブラッシングが必要 |
・通気性が悪く蒸れやすい ・チープな印象を持たれやすい、ダサい ・歩行時に音が鳴らない ・損耗速度が速い |
革底にゴム底を上張りするのはアリ?
ゴム底の方が機能的なメリットは多く、デメリットについては見た目の問題のみ。また、最近ではゴアテックスを搭載した革靴も登場し、通気性に関してはほぼ改善されていて「デメリットは無い」といっても過言ではない。
また、革底にゴム底を上張りすることもできるみたいだが、物の本来の形を維持したい人であれば、ゴム底を張ることを邪道・ダサいと思う人もいるかもしれない。実は私もその一人で、機能性ばかりが革靴の良いところではないと抵抗を持っていた。しかし行きつけの靴屋のマスターから、
「格好で靴を履くのも結構、しかし滑って転けたりすることもダサいのでは」
と、ぐうの音も出ない一言を突きつけられ、恥ずかしくなった思い出も。ただ靴の楽しみ方は人それぞれであるし、そもそも私たちはお客様目線で革靴を選ぶべきなので、そこにはある種答えは無いのかもしれない。
お客様の印象
「革靴の裏なんて誰も見ていないじゃないですか」
そんな一言を後輩社員から言われたこともあったが、果たしてそうだろうか。単に私が革靴マニアだから細かい点にグチグチ言っているだけのように思われているが、お客様の多くは(特に個人のお客様)革靴を大事にしている方が多い。身なりを気にしている方は、人の身なりも気になるし、自分が大事にしていることは他人に対しても同じ価値観を植え付けたくなるので気になる方も多い。
「出世したければ革靴を磨きなさい」とはよく言われるが、その真意というのは、革靴を磨くことにデメリットが無いからなのだと思う。人はメリットやすぐに効果が出るものばかりに興味を持つが、「革靴を磨く」ということについては、確かに劇的な効果や結果が見えるものではない。強いては革靴の裏なんて誰が見ているのだろう。
しかしそういった細かい所に目がいくようになり、綺麗にメンテナンスしていると、それを必ず見ている人がいて良い印象を持たれるはず。それがゴム底なのかレザーソールなのかは論点ではないが、どちらにしろ革靴は見える部分も見えない部分も抜かりなく手入れを行い、その手入れには手間がかかる点やお金がかかるポイントがある、というのをここで伝えたかった。