パラブーツはフランスが誇る老舗のブランド革靴。パラブーツの名前の由来にもある「パラ」は、ソールに使われているラバーソールをブラジルのパラ港から取り寄せている天然ゴムが由来。
創業者であるレミー・アレクシス・リチャード氏は天然ゴムに対する拘りが強く、革靴には革底が主流だった当時に新しい流れを作ろうとした。革靴ブランドとしては「唯一」ソールまで製造するシューズメーカーなのだ。
パラブーツの特徴と種類
パラブーツの最大の特徴であるソール(ゴム底)はスポーツスニーカーのようなクッション性。天然ゴム故の体重をかけたときの潰れる感覚はたまらない。しかしその分、足底が他の革靴に比べて厚く作られているのがデメリットになる。
また、革にリスレザーといわれる他の革とは異なり少し水気を含むような質感がある。その水気とは多く塗りこまれている油分。油分を多く含む革は雨を弾きやすく染みにくい構造になっている。そのため革自体が傷みにくい。そんな耐久性もあってかパラブーツはフランス海軍の正式な軍靴として指定されている。
ノルウィージャンウェルト製法
写真のような、ソールとアッパーの繋目に使われているウェルトの縫い方について特徴的だ。
通常であれば、内側に入れ込むウェルトを外側に出す手法を採用する。ウェルトが屈曲してアッパーとソールの隙間にすっぽりと収まっている。これにより防水性が高まり、隙間から水が入り込みにくくなっているのだ。製法の名前の由来でもある、ノルウェーのように極寒の国でも使える防水性能がその耐久性を実現させている。
ミカエルフォック
パラブーツの代名詞とも言えるチロリアンシューズ。甲革にはシールファー(アザラシ革)を使用し、ブランドを超えフランスを代表するような世界的デザインとなった。
シャンボード
厚さ1cmもあるソールとノルウェージャンウェルト製法で作られた高い防水性はパラブーツの中でも代表的な一足。デザイン・重厚感・手入れのしやすさから、ビジネスシーンでも愛用している方が多い。普通、こうした高級ブランドの革靴は手入れが難しいものが多いが、パラブーツは初心者にも勧められるほど手入れが簡単。
アヴィニョン
エレベージ
ウィリアム
パラブーツはどんな人に向いてる?
フランス製ということもあり少しカジュアルな印象の強いつくりが多いため、金融・不動産・公務員などの少し「お固い」職種の方は注意。
ただ、カジュアルデザインの中に品位を感じられる革靴なので、主張が過ぎたり悪目立ちすることはないだろう(ミカエルフォックは除く)。
ソールが厚く、特に防水・耐久性に優れているため機能面で評価できるところが多い。ビジネスマンにおける革靴というと、ついつい形式的なテンプレートのデザインが良いとされる風潮にあるが、そもそも「靴」というのはパラブーツのような機能重視のものが評価されるべきだろう。
価格帯は5~10万円代と、海外ブランドの革靴としてはお手軽なものが多いので、ビジネス・プライベート問わず是非手にとってみてほしい。