今回は、イギリス製の高級革靴「Paul Smith」について解説していこうと思う。Paul Smithというと、あまり革靴の印象は無いかもしれないが、繊維・縫合技術の先駆け的存在で、その細部の作りやイギリス製の味わいが深く感じられる。実際の製作はチーニーとクロケット&ジョーンズに依頼しているが、バーバリーやラルフローレンなどと違って、いわゆる「ブランド料」は上乗せされていない。つまり、素材のままの料金なので価格帯については良心的である。
それもただクロケットの革靴に「Paul Smith」の名前を貼り付けただけでなく、Paul Smith独自の縫合技術や、『紳士の国・イギリス』のテイストを加えた高級感が感じられる。なのに値段はクロケットと同じなので、むしろお得感がすごい。
私が実際に履いているのも、「Paul Smith×クロケット」コラボのもの。
ポール・スミスの革靴の特徴
クロケット&ジョーンズとコラボ
Paul Smithの実際の製作はクロケット&ジョーンズとチーニーが行っている。しかし、丸々委託しているわけではなく、Paul Smithの伝統や思いが伝わっているし、クロケットはどちらかと言うとPaul Smithと似たテイストを持ち合わせている。また、Paul Smithの名前があるからといって、クロケットの靴と比べて大きく値段が変わるかというとそうでもなく、お互いがWinWinであることがわかる。
例えばラルフローレンの革靴の一部はリーガルに製作を委託しているが、ここには「ブランド料」がガッツリ上乗せされており、ブランドに金を払っているのか、革靴に金を払っているのかわからなくなる。
細部の細かさはあっぱれ
非常に繊細で緻密な作りを演出できる理由は、Paul Smithが独自の繊維・縫合に関するノウハウを持っているため。また、クロケットジョーンズの理念である「足を守る」という靴として基本的なことを守りながら製作にあたっている。
だから、緻密さと力強さ・頑丈さを両方兼ね備えた1足なのだ。
一般的にPaul Smithの革靴はドレス用であったり、カジュアルな印象を持たれ、営業マンが日々動きまわる靴としては不向きなのではと思われるが、Paul Smithとクロケットジョーンズの理念を知れば、むしろ営業マンに履いてほしい靴だと私は感じる。
最高級の牛革素材カーフを使用
皮革には最高級牛革「カーフ」を使用。牛革の中で最もキメが細かく美しい。
英国紳士が騎乗する様子をイメージ
ポールスミスの発祥は、紳士の国・イギリス。
乗馬が盛んなこの国で生まれたため、ポールスミスのスーツは、後ろの切れ目(ベント)が2つ入っている。
靴も同じように、利便性・機能性以上に「壊れない」という根底の考えがある。そこに紳士にふさわしい高貴なイメージを演出しており、本当に惚れ惚れしてしまう…。如何にも日本人が好みそうなデザイン。
レザーソールは我慢…小石が埋め込まれやすい
イギリスの紳士をデザインしているため、日本のアスファルトをカツカツ歩くことは一切想定して作られていないのだろう。
ソールはレザーソールで写真のように小石が細かく埋め込まれる。これは履き始めて約1年ほど経過した写真。これでも毎回小石は払って注意しているが、ここまで確認できるほどになってしまった。
もちろん交換はできるし、人目につく点ではないが、レザーソールの宿命であるため覚えておこう。
Paul Smithは営業マンが履いても大丈夫?
結論から言うと、何も問題は無い。
Paul Smithの一般的なイメージとして
・デザインが派手、奇抜、カラフル
・値段が高い
・日本人の足に合わなそう
・ネームバリューだけ
・すぐに壊れそう
というマイナスなイメージが多い。特に、サイフやキーケース、時計など、小物類が大学生に人気なので、大人の男性からしたら少しチープな印象も持っているかもしれない。しかし実は全く逆。
・頑丈で力強い
・繊細な縫合技術
・ブランド料は含まれていない
・カラーバリューが豊富(派手なものもある)
などなど。実は営業マンにとって履きやすく、私も1週間のローテーションの一角としてPaul Smithを組み入れている。
確かに、国産の革靴と比べると、イギリスは人件費が高くて有名であるし、関税等の影響で値段は高めの部類かもしれない。それでもこの技術力・繊細さ・力強さ・デザインを全て両立した革靴は、国産革靴では中々出すことができない。ビジネスマンであるならば1足はこの価格帯の靴を持っていてもいいかもしれない。