この記事は「ドンキの革靴は買って大丈夫?中国製の安物ビジネスシューズを購入」の続き。ドンキの革靴を購入した経緯や、どんな革靴が陳列されているかまとめているので併せて読んで欲しい。
ここでは、実際にドンキで購入した革靴のレビューになる。
やっぱり後悔…細部の作りや材質はひどい
ドンキに陳列されている状態ではわからなかったが、いざ自宅に持ち帰ってみるとその粗悪さが顕著だ。それは写真からも分かると思う。いやいや本当に不思議だが、本当に他の安物シューズと一緒に並んでいる時はこの革靴が光って見えたんだ。でもこうして単体でじっくり見てみると、本当にひどい。特に革の材質は目で確認できるほど安っぽい。
つなぎ目からは糸のほつれが確認できたり、通気性に関しては最悪。履いて5分も立たないうちに暑くもないのに汗が湧いてくる。これを若い社員が履いているのかと思うと、その仕事の効率の悪さは革靴が関係していると言わざるを得ない。
如何にも足が蒸れそうな内部構造。どうしても履きたい場合は中敷きを別途購入する必要がある。
甲の部分ももちろん通気性能無し。
こちらは防ぎようがない。
糸がほつれており、作りも甘い。
「中の構造は履いてしまえば他人からはわからない」と思うかもしれないが、靴を脱いでお客様のご自宅に上がる際など、見る人は見る。「見る人」というのは、同じように靴を大事にしている人。逆に言えば、そうしたお客さんは自分が靴を大事にしているというだけで営業の交渉がスムーズになるので、言い方は悪いが「ちょろい」。
裏面は滑り止めのようなものが付いているが、1週間程度履いたらアスファルトとの摩擦で削り落とされそうな作り。かかとの交換はもちろんできない。むしろこれほどまでに安かったら、壊れたら即買い替えということになるだろう。
もちろん「MAID IN CHINA」である。
Paul Smithと比較、さらに粗が目立つ結果に
どれだけドンキの革靴の作りが粗悪か、分かりやすくストレートチップの同タイプで、私が普段から愛用しているPaul Smithの革靴と比較してみよう。
補足を入れるまでも無いが、左がドンキ、右がPaul Smithである。
まず革の輝き・光沢が違う。ドンキの方は明らかに合成質がにじみ出ており「自然さ」が感じられない。対してPaul Smithは自然なツヤ感の中から「革」を感じることができる。
Paul Smith(左)の方はかれこれ1年以上履いているが、きちんとメンテナンスしているのでこのように中敷きは一切汚れていないし、そもそも汚れにくい。ドンキ(右)は恐らく1~2ヶ月ほど履いていれば表面の合皮が禿げてくるだろう。
ドンキ(右)はつなぎ目が目に見えて粗く歪んでいる(真っ直ぐじゃない)が、Paul Smithは真っ直ぐ丁寧に作られている。工場によって自動化して作られている中国製シューズと異なり、Paul Smithは一つ一つ職人が手作業で製作に当たられている。
ドンキの方はよく見るとつま先の部分も色がまだら。恐らく合皮に塗料を塗っていてそれがドンキの陳列で色々な人が履いたり手に取ったりする過程でハゲてしまったのだろう。
かかとの部分は本当に顕著にその作りのいい加減さがわかる。
すでに解説したが、ドンキ(左)は先ほど買ってきた新品であり、Paul Smith(右)は1年以上履き続けているもの。全く型崩れしていないPaul Smithに対して、ドンキの革靴は新品のはずなのにすでに「中古感」がにじみ出ているのが分かる。
ドンキの靴を履いている上司がいたら、お客様や部下はどう思うか
確かにドンキの靴は安いかもしれない。
しかしそれは「コスパが良い」という意味ではなく、「値段相応」というだけ。むしろ、これを履いていることで「失うもの」の方が多いと思うし、レザー課長としてはたとえ「無料」だとしても履くことは無いだろう。
何度も繰り返しになるが、これを履いている上司を見て、部下や、お客様は一体どう思うだろうか。
もちろん、この靴を履いていても何も感じない人はいる。しかし、明らかに低品質な革靴(ドンキ)を履いている人を見て「この人は靴が綺麗だ」とはならない。何が言いたいかというと、ドンキの靴を履くということは、ゼロかマイナスになる可能性しか秘めていないということ。
つまり、「靴の安さ」というメリットと引き換えに、リスク・ハンデを背負いながら営業をしていかなければならない。これはなんと無駄なことだろう。私だったらその逆、つまり「お金を払ってプラスになる要因を買いたい」と思う。高い靴を買えと言っているわけではないが、その靴を見てお客様はどう感じるか、ということを常に意識することが大事だと思う。