フルオーダースーツの魅力は動作に合わせたフィット感を実現できること。立っているときのみ体にフィットするものを望むなら既製品やイージーオーダー、パターンオーダーでも可能だ。しかし歩く・走る・座るといった機能性を求める場合はフルオーダーがおすすめ。
体にフィットしたスーツを着用することで、型崩れが起きずらく生地が痛みにくくなるため結果的に長持ちする。また店によっては既製品とほぼ変わらない値段で作成できてしまうこともあり、年々フルオーダースーツの需要が高まっている。
フルオーダーでオーダースーツを注文するときの流れ
以下のようなスーツを求めている方はフルオーダーがおすすめ。
- ジャケットとパンツを別々で買いたい
- 既製品を直してもフィットしない部分がある
- 動くと窮屈に感じる
- 同じスーツを長く使いたい
- ヒップに合わせるとウェストが余る
「フルオーダーって面倒だし、わからないことがたくさん」という方のために失敗しないフルオーダーするときの流れについて説明していこう。
【お店選び】技術あるテーラーの見つけ方
フルオーダーの仕上がりを握っているのがテーラーの存在。技術あるテーラーを見つけるためにネットで調べることも多いと思うが、フルオーダーを行っているお店へ実際に足を運んで自分の目で調査するべきだろう。
調査内容について
- 縫製技術を確認
実際にそこで作られているスーツを見る。ポイントはボタンホールのほつれや縫い目の粗さの確認。ほつれていたり、粗かったりする場合は話にならない。 - 肩のアーチを確認
ハンガーに吊るしてあるジャケットを手に取り、指先にぶら下げて型が崩れないかチェック。 - テーラーの対応
知識が豊富でも素人の我々にもわかりやすく説明できる方がおすすめ。
【生地選び】着る季節に合わせて変える
素材 | 特徴 |
ウール | スーツの素材で最も多く使われている素材。独特の光沢や弾力性があり、シワになりにくい。 |
ポリエステル | ウールより光沢が安っぽく感じしまうが、耐久性に優れ水に強い。ウォッシャブルスーツに用いられる。 |
シルク | スーツに使われる素材の中でも光沢が強く、タキシードに用いられることが多い。 |
コットン | 通気性・吸水性が良く、春夏用のスーツに用いられることが多い。 |
基本はウールだがそのスーツの着用時期によって生地を変えるのもおすすめ。安くフルオーダーしてくれるお店だと、生地がポリエステルしか選べないところもある。またシルクだと光沢が強過ぎるため、ビジネス向きではない。
初めてフルオーダーでスーツを作るときはウールやコットンなどビジネスシーンでも着られる素材にしておこう。せっかく作ったスーツだからこそ着る頻度はなるべく多いほうが良い。
【デザイン選び】スリーピースorダブルジャケット
- スリーピース
ジャケット・ベスト・パンツの3セットを全て同じ生地で作ること。またベストだけを別生地で注文したり、ベストがないツーピースオーダーも可能。 - ダブルジャケット
ジャケットのボタンが2列になっているデザインのこと。年配の方が着るイメージが強いが、今は若年層からも密かに人気を集めている。
スーツ以外にもボタンやポケットなどの装飾品のデザインも決めることができる。デザイン段階で決めていたものも仮縫い時にイメージと違っていれば変更可能だ。
【採寸】計る項目について
肩幅・袖丈・胸囲・ヒップ・胴囲・股下の採寸に加えて、複雑な動きに合わせてスーツがフィットするよう手を伸ばしたとき・座ったときの袖や肩幅の長さも計る。また人の体は左右非対称となっているため、その左右差もフルオーダーでは微調整できる。
【仮縫い】未完成のまま試着
仮縫いと言われるしつけ糸で軽く縫われた継ぎ接ぎ状態のまま一度試着することができる。この段階でサイズ・仕上がり・デザインに不備があれば調節可能。仮縫い時は実際に動いて肩やパンツの伸縮性について確認しておこう。ストレッチ素材とは違いどの素材も伸縮性がないため、ここでの最終調整が大切だ。
【受け取り】オーダースーツが手元に届くまで最短5週間
フルオーダーは出来上がるまで時間がかかることが唯一の欠点。最短といってもスケジュール通りにいったときのみで、デザインや生地選びが上手くいっても、採寸に時間がかかってしまうこともしばしば。中でも仮縫いに時間をかけている方も多い。しかし一度フルオーダーで作ってもらうと、その採寸データがお店に残るため再度同じところで製作する時は便利。
フルオーダースーツの注意点
- デザインは既製品をモデルにする
ポケットやボタンの数などは変えず、デザイン自体はモデルとなるものをある程度決めておこう。 - 体型が変わればフィット感もなくなる
多少の前後は許容範囲だが、そのときの体型に合わせて作っているため、体重の増減や各周囲のサイズが変わればフィット感がなくなってしまう。 - フルオーダーできるお店が少ない
イージーオーダーやパターンオーダーだとスーツ量販店でも行っているが、フルオーダーとなると国内でも限られたところしか行っていない。