五大陸はアパレル会社大手のオンワード樫山が展開するスーツブランド。「イギリスの伝統」「フランスの華やぎ」「イタリアの粋」「アメリカの合理性」「日本の繊細さ」という意味がブランド名に込められている。
「日本発世界服」をコンセプトに作られており、日本が世界に誇るスーツブランド。日本のスーツブランドなのに、海外のトレンドを取り入れたオシャレで丈夫なつくりがビジネスマンから好まれている。日本製スーツの売れ行きが低迷している中、五大陸だけは長年人気を集め続けている。
五大陸スーツが日本人に好まれる理由
日本人の身体に合ったつくり
日本製にも関わらず、海外ブランドにも引けをとらない上品で繊細なつくり。どのスーツも「着心地」に拘り、日本人の身体にフィットするよう肩幅や着丈を計算されて作られている。
天然素材のみを使用
日本製スーツは機能性を重視し過ぎて、化学素材に頼ってしまうものばかりだが、五大陸は全て天然素材だけを使用し、自然な風合いが楽しめるようになっている。また縫製段階でも、多くのスーツは決められた生地から作られるのに対して、生地を吟味してから納得できるものだけを使っている。
低価格で高い品質を維持
主に生地は海外から輸入しているが、染色・加工・縫製といった製造は全て日本で行っているほどの徹底ぶりだ。また同じクオリティのものを海外ブランドで購入しようとすると、20万円以上はくだらない。しかし五大陸では最高でも15万円以内に抑えられるコスパの良さも日本人に好まれる理由だろう。
五大陸スーツの種類と機能性
最上級ライン「ザ・スタンダード・アーカイブス」
五大陸が「一生使えるモノ」という思いで作ったスーツで、価格が15万円前後とレギュラーラインに比べて倍以上の価格。しかし、素材にはスコットランドの上質なものを使用し、大量生産せず日本最高峰の工場で、受注生産や限られたものだけが仕立てられている。
肩幅を広く着丈が長いものの、ウエスト部分をスリムにすることで胴長の日本人にピッタリと合う形。そのフォルムは着た方が自身を持てるようにという意味が込められ、日本最高級の一品。
シワになりにくい「ヨンパチクロス」
スーツに使われる糸の中でも細かくシワになりにくい48番手をタテ糸に使用している。日本の「座る文化」に適した素材となっている。仕立てはフル毛芯となっており、同じ姿勢で生地に圧がかかっても生地が潰れることもなく、形状記憶のように型崩れを起こさない。また素材自体の良さを活かすために、染めから縫製に至るまで国内で丁寧に行われている。
上品な光沢のある「60(ロクマル)モヘヤ」
タテ糸にヨンパチクロスよりも細かい60番手のウールに、ヨコ糸はモヘヤとなっている。モヘヤはウールよりも繊維が平らかつ滑らかで肌触りが良い。また洗濯しても型崩れを起こしにくく、常に柔らかい着心地をキープしてくれる。そのため着る度に身体に馴染んでいき、まるでオーダーメイドスーツのようなフィット感となってくる。
軽さと通気性を兼ねた「ペーパーメッシュ」
使われる生地としては珍しい和紙を織り込まれたジャケット。夏用に作られたペーパーメッシュは、ウール・シルク・和紙の糸を使われており、軽く通気性に優れている。近くで見ると三色で織り込まれた千鳥柄が分かる。肩パッドを省いたアンコン仕様となっているため、ストレスなく柔らかい着心地となっている。
五大陸は日本らしさを組み入れたスーツ
五大陸は日本が誇るだけあって、クオリティ・価格・着心地に関しては申し分ない。ただ色味やデザインがシンプルなものが多く、海外ブランドのような遊び心というのは乏しい。黒や紺、グレーを基調にしているためだが、その分素材を活かすことができるためメリットともデメリットとも取れる。
海外の高級ブランドほど知名度やブランド力は高くないが、クオリティを求める方には五大陸スーツをおすすめしたい。