高級感のある「エナメルの革靴」は実はビジネスシーンにおいては不適切と言われている。カジュアル過ぎる印象が強く、その独特の光沢は足が割る目立ちしてしまう。そんなエナメルの革靴はどういったときに履かれて、どんな方法でメンテナンスすればいいか紹介していこう。
エナメルの革靴を履きこなす
エナメル革靴ってどんな革靴?
エナメルの特徴
エナメルの革靴は革皮の上にウレタンの樹脂を吹き付けてある素材のことを差す。厳密に言うと表面はウレタンで革ではない。感覚的に、革の上から柔らかいアクリルやプラスティックを貼り付けているのと同じ。従って、一般的な手入れによって革の雰囲気が出るものではない。しかし、他の革と違い初めから光沢のある加工がされているためその独特の光沢やツルッとした表面は汚れにくそうに見えるが、実際はホコリや指紋などの汚れが付着しやすく手入れを怠れば汚れは落ちにくいものになる。
エナメル革靴を履くべきシーン
結婚式やパーティーといったシーンに向いている。とくに、タキシードやブラックスーツを着て足元まで黒で統一する際に、「エナメルの革靴」は一層上品さや高級感を際立たせてくれる。特に、結婚式のベストな形としてプレーントゥやストレートチップといったところだ。
もしフォーマルな場での革靴についてはこちらを参考にしてほしい。
また一説では、普段から手入れをされている革靴は革墨(靴クリームも同様)がついているため、「女性のドレスに付着した際に汚してしまう可能性がある」とも言われている。「エナメルの革靴」はドレスコードの場ではオシャレと同時に女性への配慮も考えられている。
エナメルの革靴の手入れ方法
他の革靴と違い革の上から光沢加工(エナメル加工)されている革靴は他の革靴と手入れ方法が一部ことなるため今一度まとめておこう。
1:柔らかい布で靴のホコリや軽い汚れを落とす
エナメルは加工されている部分が取れてしまうと光沢にムラが出る。その為、ブラシをするより柔らかい布で汚れを乾拭きをする方が良い。
革靴の専用のクロスのようにキメの細かいものが好ましいが、Tシャツでも代用は可能である。
2:布に革靴用のクリーナーを付けて汚れを落とす
簡単な汚れを1で落として、しつこい汚れに関しては靴クリーナーを使って磨いて落とす。汚れにくい印象のあるエナメルの革靴だが、細かいところに小さな汚れが付いている。また、汚れはマメに落とさないと後に落としにくくなる。
3:エナメル用クリームでツヤと栄養を補給からの乾拭き
汚れを落としきったら、最後の仕上げにエナメル本来の輝きを維持するように専用のクリームを塗っていく。革の上から、加工がされているため、普段使う靴クリームは塗っても弾いて浮いてきてしまう。また、浮いてしまったクリームのせいでエナメルの独特のツヤや光沢がなくってしまう可能性もある。
最後に、乾拭きによって余分なクリームを落としてあげることでより靴に光沢やツヤが出る。
通常行う革靴の手入れでは最後に防水加工することもあるが、エナメルの革靴には絶対にしてはいけない。そもそもエナメル加工された革靴は、雨の影響を受けにくくなっている。従ってさらに、加工されている上から、防水スプレーを吹き付けてしまうと、革の表面に余計な膜ができ、ツヤや光沢がなくなってしまう。
エナメルの弱点
エナメル加工されていることから、汚れにくい印象や雨の影響を受けにくいように感じられている。しかし、「エナメル加工」は温度の影響を受けやすいのが弱点である。暑い時期では、エナメルがベタついてしまうこともある。エナメル加工されたウレタンは熱に弱く溶けてしまうこともある。また、寒さの影響も受けやすく極度の寒さでは革靴自体が固くなってしまいヒビ割れの原因にも繋がる。そういった点から、エナメルには適度な温度、湿度が保たれている場所で保管して、定期的に手入れをしてあげる必要がある。
また、樹脂で加工されているためキズがついた場合は補色、補修が不可能という致命的な弱点もある。
エナメルの革靴はパーティ専用
私の個人的な意見だが、エナメルの革靴の必要な用途としては「結婚式&パーティ用」といった印象だ。キズがついてしまったら補色・補修が難しいものは日々キズつきやすい環境にいる営業マンにとっては不向きである。高級感のある光沢やツヤはたしかに魅力的ではあるが、ビジネスの場では必要ないものだ。「それでもビジネスの場で履きたい」と思う人がいるのであれば、履くことを止めたりはしない。格好良いことは確かである。スーツより目立ってしまう革靴を見る相手はどう思うか考えてほしい。