営業マンにとっての「疲れない革靴」とは何だろうか?
足にフィットする革靴、長い時間履いていても蒸れにくい革靴、軽くて走りやすい革靴、はたまた東京・大阪のような都心で働いているのか、田んぼが広がる地方で働いている(車や自転車を使う)のか、「営業」といってもその人自身が置かれている立場で「疲れない革靴」の選び方は異なるだろう。
しかし、必要最低限求められるのはある程度の機能性。逆に、いわゆるハイブランドの革靴やデザインから選んでしまうと失敗するリスクは高まる。デザインや材質も確かに大事だが、うまく歩き回れなかったり、そもそもが長距離の歩行を目的とした作りになっていないケースが多い。
よく勘違いされるが、ハイブランドの革靴ほど、革がナマモノに近く繊細。役職付きの方や政治家が高級な革靴を履いても問題ないのは、長距離の歩行をそもそも前提としていないし、じっとしていることが仕事だから。そうした方々の革靴は逆に機能性や歩行に関する利便を求めなくてもOKなのだ。
「疲れない革靴」は人によって違う!どうやって選ぶの?
疲れない(疲れにくい)革靴を選ぶ上でのポイントを頭に思い浮かぶだけ列挙していくので、自分の職場環境・実際の仕事内容と照らして参考にしてみて欲しい。
①つま先(捨て寸)は1cm以上の余裕をもつ
つま先(捨て寸)は1cm弱程度の余裕を持ったものを選定。捨て寸を上手に取ることができると外反母趾を予防することができ、階段を駆け下りたり、走ったりする時の天然のクッションになる。横幅と違って縦の長さとなると、後から伸ばすことは難しい。
ストレッチャー等と使えば確かに伸びるが、伸びても0.5~1cmほどが限界。捨て寸は本来「あるべきもの」なので、ぴったりの革靴を無理に選ぶとストレッチャーを使ったとしても履けないことが多い。
②ワイズ・足幅は多少きつめを選ぶ
対して横幅については少しきつめを選定すること。革靴は「革」なので使って履いていくうちに若干だが伸び縮みする。
しかし日本人の足幅は外国人と比べてかなり幅広であるため、外国製のブランド革靴を選んで履くとキツすぎて履きにくいものが多い。できるだけ国産ブランドの革靴を選び、その革靴で「少しきつめかな?」くらいのものが、長期的に見て良いと言える。
③かかとの「浮き・空気漏れ」を確認
①・②をクリアした革靴を実際に履いて、店内(あるいは自分の家)を少し歩いてみよう。そのときに、かかとの「浮き」や、空気がズボズボ抜けたりする感覚があれば、革靴の通気性が悪い目安になるため注意。
なお、通気性の良いゴアテックスの革靴やホーキンスの革靴のようにソールや足の甲から空気を逃がすものだと、上手に換気ができるためおすすめ。
④革底がゴム製だと疲れにくい
ゴム製の革底はレザーや木製の革底よりもクッション性や足の馴染み方が自然で「疲れにくい」と言われている。その代償として「カツカツ」と革靴らしいあの音は聞けなくなるが、機能面を重視したときはゴム製を選ぶべき。またゴム製の方がレザーの革底よりもかかとの「減り」に強く、耐久性に富んでいる。
特に「歩行距離が多い」という場合は、有無を言わさずゴムソールを選ぶべき。
⑤革底がやわらかい・曲がりやすい
長距離の歩行や、しゃがんだり、踏み出したり、営業マンは色々と足元が忙しない。その中で革底の柔軟性は「疲れない革靴」選びで重要となる。ちなみに写真の革靴の革底はレザー製だがよく曲がる。これは革靴全体の作りで大きく異なるので実際に手に取って革靴ごとに確かめてみよう。
⑥革靴のクッション性を確認する
実際に履いた感覚から「地面・アスファルト」を強く感じてしまう薄っぺらいスリッパのような革靴は選んではいけない。「素足に近い感覚の方がいいのでは??」と勘違いされるが、それは早く走ることが目的のスポーツ選手の思考。話は変わるが、メジャーリーガーのイチロー選手のスパイクは4~5回履いたらすぐに履き替えるのだとか。軽さ・速さ・フィット感、そういったものを追求しすぎると、耐久性は落ちてしまうのだ。
しかし我々はイチロー選手のように数十億も稼いでいるわけではないし、耐久性・軽量感・価格が総合的に考えられたものが欲しい。従って、明らかに足とアスファルトの間に「何かがある」という感覚が大事。「重い革靴」の方が意外と疲れにくいと言われるのはそのため。
アシックス・ランウォークは営業マンに超おすすめ
以上のことをまとめた革靴を1つ提示するとなると、私はアシックスのランウォークをおすすめする。
ランウォークは「走れる革靴」として有名で、とにかく軽い・蒸れない・疲れない。まるでスポーツシューズを履いているような感覚にさせられ、それでいて見た目や色・デザインも普通の革靴と遜色のないレベル。ゴアテックスも搭載しているため雨の日でもOK。
デスクワーク・事務仕事が多い人はスリッポン
人事や経理、内勤事務の社員は機能性に重視した革靴というよりも、脱ぎ履きが便利な「紐なし」タイプがおすすめ。
スリッポン・ローファー・モンクストラップなど、紐なし革靴はデザインで見てもたくさんあるので意外と楽しめる。紐がないので、足のフィット感はもっと重要になる。仕事中スリッパに履き替えれば、革靴を休ませることができるので、幾分背伸びをした革靴を選んでも問題無いだろう。