動物の革には色々な種類・特徴があり、主に革靴に使われているのは、牛革・馬革が多い。良い革靴はその動物の革の特徴を生かして作られており、それを見極めて自分にあった革靴を選ぶのは本当に楽しい。
今回は、革のことをより深く知ってもらい、革靴選びの参考になればと思い革の種類・特徴についてまとめてみた。
革靴の定番素材はやはり牛革・馬革
皮革の供給量が多く、耐久力もあり上質で色合いがキレイだと言われているのが牛革と馬革。市場に出回っている革靴のほとんどはこれらにあたるだあろう。
牛革(カウレザー)の特徴と魅力
革製品の代表的な素材であり、革靴以外にも昔から多くのものに使われている。牛革の特徴は牛の年齢や性別によって質感・持続性が全く異なること。
革靴で一番用いられているのが、ステアという種類の革であり、生後3~6ヶ月以内に去勢した2歳以上のオス牛の皮だ。去勢したことにより、牛が暴れることなく傷も少ない、なめらかで綺麗な革が多い。またキメも細かいため需要が高い。
馬革の特徴と魅力
競馬好きの方ならよく分かると思うが、馬の皮というのは本当に滑らかで美しい。筋肉隆々でたくましいボディを支えるあの皮は、革靴にも用いられ、特に高級革靴に使用されるケースが多い。
特にコードバンと言われる馬の臀部(お尻)からとれる革は、採取量が非常に少ないことから皮の宝石とも言われる高級革だ。空気を通さない緻密さと丈夫さを持ち、宝石のような光沢感が特徴。高級な靴に使われることが多く、履きジワがキレイに現れるのも特徴の一つ。
ただコードバンは非常に繊細で、食べ物に例えると「生肉」のように傷つきやすく、しかしとても美味しい(美しい)素材なのだ。なので履いていない日でもオイル補給を始めとした手入れが必要で、本当に革靴が好きじゃないと買ってはいけない革靴だと言われている(価格もかなり高い)。従って、都内のアスファルトジャングルを日々駆け回るビジネスマン向けの革靴ではなく、経営者やお偉いさん向けの革靴。
定番を外した一風変わった皮革素材の特徴と魅力
ここからは少し変わった動物の革を使った革靴を紹介しよう。ビジネスシーンで着用することはあまりないかもしれないが、ドレスシーンを始め、プライベートでは履く機会があるかもしれないので、雑学感覚で楽しんで見てもらいたい。
羊革(シープスキン・ラム)の特徴と魅力
主にムートンブーツなどに使用され、革靴にはほとんど使用されない。使用されていてもゴムや合成革と一緒に作られるため、「羊革」を体感することは難しい。肌触りは非常に良いが、ビジネス向けではない。
豚革(ピッグスキン)の特徴と魅力
日本で唯一一貫生産できる革である。豚革は通気性の良さが魅力なため、革靴全面に使用されるというよりは、裏地・足裏など部分的に使用されることが多い。また豚革は丈夫で軽く、柔軟性に優れていることから、外回りをする営業マンから徐々に人気が出てきている。
イノシシ革(ペッカリー)の特徴と魅力
高級皮の一つで主に手袋に使用される。豚皮と似ていて通気性が非常によく、蒸れにくく、かつ温度を保ちやすいため手袋素材として使われることが多い。耐久性が強いとは言えないため、革靴に使用されることはほとんどない。
鹿革(ディアスキン)の特徴と魅力
鹿革(ディアスキン)は武具や馬具に用いられていたほど丈夫でしっかりした革。かつ手触り良く、耐水性が高い。ライダース製品や、グローブなどに使用されることが多い。ただ、柔軟性や、革靴をデザインできるほどの柔らかさがないため、ビジネスマン向けの革靴はほとんど無い。
ダチョウ革(オーストリッチ)
特徴:ダチョウ独特の丸模様、柔らかく丈夫で、使えば使うほど味が出てくる。
蛇革(パイソンレザー)
独特のウロコ模様から、ワイルドで美しい女性に人気だが、履く場所は選ぶべきである。
特徴:繊細で耐久性が低い。使えば使うほど色が変化していくことから、それを楽しめるのも一つ。
エイ革(スティングレイ)
特徴:革の中でもトップの耐久性を誇っている。サンゴのような輝きも魅力の一つで、泳ぐ宝石とも言われるエイ。また、その光沢は劣化しづらく長く使える最高級革靴である。
鮫革(シャークスモン)
サメの革は、染色が難しく加工に時間かかることから、仕上げるまでに時間がかかることから希少性はかなり高い。捕獲量も決められており滅多にお目にかかることはないであろう。
特徴:耐水性はもちろん、他の海の動物に比べて耐久性が高く丈夫で長持ちする。また、長く使うことでツヤや光沢が強くなるのも特徴。
ワニ革(クロコダイル)
最後に紹介するのがこのワニ革(クロコダイル)。ビジネスやフォーマルなシーンで絶対に履いてはいけない代表的な革靴。圧倒的な存在感とガラの主張で、周囲に威圧的な印象を与える。また革自体も非常に繊細で、市販のオイルやクリームではなく、クロコダイル皮専用のオイル(その革靴だけにあったもの)が支給される。
完全プライベート向け、自分に自信が無いと中々履くことができない革靴。値段も非常に高く、私もまだ履いたことはない。
革の特徴で革靴選びに幅を
様々な動物の皮の特徴について説明してきたが、使う状況によって皮の種類を換えるのも一つの楽しみになってくるであろう。
よく部下から革靴のことに相談され「どの革が一番良いですか」と聞かれることがあるが、正直一番は分からない。革それぞれの良さがあり、また作り手・ブランド・製法によっても左右される。私が革靴を選ぶ際は、総合的な基準のもと決断し、結局の決め手は「履き心地」であることがほとんどなので、知識として持っておく程度で損は無いと思う。