革靴のシワを消すことはできない!乾燥対策が長持ちのコツ

一日中外を歩き回る営業マン、帰宅する頃には自分が疲れていると同様に革靴も疲労困憊…。そして、その疲れは徐々に蓄積してシワとなる。

しかし、デキる営業マンは自分の疲れも革靴の疲れも、その片鱗を見せることはない。そう、できる営業マンは皆、どんなに疲れていようと足元ケアに余年がないのだ。そんな、デキる営業マンが実践している革靴のシワの予防・対策方法を伝授しよう。

一度できてしまった革靴のシワは絶対消えない

まず誤解のないように。ここで解説している内容は「シワの予防方法」である。

既に革靴にシワができてしまった場合、これは絶対に消すことはできない。専門の修理屋に依頼しても直すこともできない。

例えば人間の肌のシワに対して化粧品をいくら塗りこんでも、奥さんのシワは消えていないはず。これは今の皮膚科学上「無理」だと証明されているから。もし奥さんのシワが消えていたら、○○注射とか、プチ整形なんかをしたと思っていい。

「シワを消す」「シワを治す」というのを請け負っている革靴の修理屋さんは、今の状態から復旧させるための処置をするのではなく、新しい革を乗せて目立たなくしたり、濃い色を塗り込んでわかりにくくする方法が主流。これは厳密に言うと「シワが消えている」わけではない。

革靴も日々疲れている!日頃のケアが大事

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これは私が以前履いていたリーガルの革靴。写真からもわかると思うが、屈曲部分がきれいに折りシワになってしまい、かなり乾燥している。残念ながらこのシワはもう消えない。私のメンテナンス不足が原因だ。

革靴にシワができる原因として挙げられるのが、この乾燥加齢。革である以上、経年劣化は避けられない。繰り返し歩いた屈曲により折りたたまれシワができてしまうのだ。

加齢に関しては防ぎようが無いが、長く履いていくうちに出てくる「風味」や「味気」「色味」は逆にメリットとも言える。しかしそれらを演出する条件は日々のメンテナンスであることはおわかりだろう。

乾燥を防ぐことがメンテナンスの秘訣

革靴の劣化を早める「乾燥」はメンテナンスにおいて非常に重要である。というのも、一歩間違えれば「カビ」の発生にもつながってしまうからだ。除湿・乾燥に対する理解は誤解しないように。

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具体的な乾燥対策としては、スキンケアと同じ。つまり、水分と油分をバランスよく与えることだ。まず、ブラシでチリや目に見えるホコリを払ったあと、軽く湿らせた布巾でなぞるように拭き取る。これで革全体に適度な水分が行き渡る。水拭きする前にシューキーパーで革靴を伸ばし、ストレッチさせておくのもポイント。その後、あなたが使っているオイルで蓋をするようにケアすれば乾燥対策は完成だ。

おすすめの乾燥・シワ対策オイル

サフィールのクリームは町の靴磨き職人たちが「全員持っている」と言われているほど品質が高いことで知られている。保湿・光沢・補色というオールインワンとしての機能を持っているため、財布にも優しい。まず1つ持っていて間違いがない靴クリーム。

革の質やサイズ感によってシワがつきやすい原因は異なる

シワは普段のケアで予防できるが、完全に対策を取ることというのは難しい。それでも長く靴を使いたいのであれば、ケア以外にも革靴の特性を知っておく必要がある。

革質によるシワの原因

シワは屈曲でできる折り目なので、革の質が硬い物はクッキリと跡がつきやすい。しかし、柔らかくて弾力のある革ならつきにくいため、購入前に革質・材質をチェック。ちなみに、牛革では成牛ではなく仔牛の革、羊革が柔らかい。

サイズ感による原因

自分のサイズより大きすぎたり、先が尖った靴のように、実際の足と触れている面積に対比があると、折れ曲がる範囲も広がるのでシワがつきやすくなる。革は結果的に伸びるので、最初は少し小さめのサイズを買うことが一般的。

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ちなみにこれは、メンテナンスを怠っていたリーガルの革靴(左)と、毎日メンテナンスを抜かり無く実践して今もなお現役のPaul Smithの革靴(右)。履いている期間はほとんど同じだが、そのシワの付き方は一目瞭然である。Paul Smithの革靴は全く履きジワができていない。

材質によって確かにシワの出来方は違うが、日頃のメンテナンスは嘘をつかないし、値段が高いからシワができにくいということも無い。むしろ高級な革靴ほどシワができやすく劣化が早い。いわゆる「良い革」というのは「生もの」に近いため、履いていなくてもオイル補給やメンテナンスは欠かせないのだ。

靴の長生きはシワの予防から

毎日仕事が忙しい営業マンのあなた。忙しくて疲れているのはあなただけでなく一緒に歩いてきた革靴も同じ。

営業マンにとって革靴は一生のパートナー。帰宅して革靴を玄関に脱ぎっぱなしになっていないだろうか?あなたの営業成績が上がらないのは、そのボロボロにシワがついた革靴をお客様が見て、生活背景を見透かされているからかもしれない。

「忙しいのはわかるが、それを客に見せてはいけない」

これは私が直接お客様に言われた言葉。靴をご覧になって、そう声を掛けられたのでハッとした。「忙しい」というのは結局のところ自分の都合であって、お客様には全く関係のないこと。その様子が靴からにじみ出ていると、それは伝わってしまう。