私は新卒で今の会社に就職した。営業として10年働き、その後人事部に配属され今は課長のポストについている。従って、第二新卒・転職の経験はない。しかし、その当事者の採用には携わってきた。また、リクルートやマイナビの担当者と実際に会って仕事をしてきた経験がある。
その経験からはっきり言うと、第二新卒の人間に採用の価値はない。
「第二新卒の子は決断力がある」
「若いし最低限のビジネスマナーを備えている」
「研修や人材育成・教育に時間がかからない」
「向上心があり吸収力がある」
「会社に染まっていないので未経験の業種や職種でも成果が出やすい」
こんなふうに第二新卒の人間をメディアが持ち上げているが、現場の人間はこれっぽっちもそんなことは思っていない。この5項目を見ると、それはそれは優秀な人材に見えるが実際に自分の胸に手を当てて、これに当てはまるかどうか自問自答してみて欲しい。そんな優秀な人材であれば今いる会社で大層な結果を残しているだろうし、それなりの給料も手にしているはず。
「外国ではステップアップのために3回・4回と転職を行います」と面接に来た第二新卒の子が話していたことがあった。しかし残念ながらここは日本。一生懸命就職・転職業界が第二新卒の子に対するイメージを変えようと張り切っているが、現場は実にドライである。この現状は理解しなければならないし、もし仕事をまだ辞めていないなら、最低3年は働きなさい。
そして何か結果や成果を残すこと。それは今いる会社のためでなく、次の転職のため(つまりあなたのため)。もう辞める意志が固まっているなら、その会社での残り就業期間は、次の会社で働くうえでの研修期間だと思うべき。そこで得た経験や成果を転職時の面接で話す。それすらもできない・結果を残せないなら、次の転職先など見つからないし、転職できたとしても今と同じような待遇かそれ以下の劣悪な労働環境の転職先しか見つからない。
「第二新卒」という言葉はありません
「第二新卒」というのは謂わば造語。おそらくリクナビかそこら辺の大手が世に放った言葉だろう。従って、就職から数年で辞めてしまった(あるいは辞める予定の)あなたが「第二新卒」という言葉を易易と使うべきではない。「第二新卒」は単なる結果であって、評価やプラスの対象には一切ならない。
「私は第二新卒で若いので、やる気と素直な気持ちは負けません」
こんなことを話す方もいたが論外である。
第二新卒のあなたが転職を成功させる秘訣
先にも話したが、第二新卒は転職において大きく不利になる。しかし「就職できない」わけではない。私の友人でも転職を5回~6回としている者もいるし、会社をクビになっても他社に就職できている人はたくさんいる。現実はホームレスになる方が難しく、なんだかんだ仕事が見つかってしまう。
では何が難しいのかというと、自分の希望する仕事に就くこと。
仕事なんて選ばなければいくらでもあるということだ。そもそも第二新卒だろうが、通常の転職だろうが、仕事を辞める理由は次の5つのうちどれか。
- 仕事(ノルマ)がつらい
- 人間関係がつらい
- 給料が低い・見合わない
- 仕事場が遠い、又は遠くなる(転勤など)
- 腰掛け
つまり、今の職場にはないものを求めて転職活動をするので、当然ハードルは高くなる。自分から見て理想的な待遇は、当然他人から見ても魅力的に見える。しかも第二新卒の人間に限って、他業種・異職種の仕事環境を求めるので、企業側から見て採用のメリットがない。
あなたが次の職場に求めるもの | 企業が転職者に求めているもの |
・今よりも良い待遇 ・自分がやりたい仕事 |
・即戦力 |
表からも分かる通り(表にするまでもないが)、そもそも募集段階で採用のミスマッチが起こっているのだ。しかしこれを理解するだけで採用の可能性は実は格段に上がる。つまり、企業側にあなたが寄り添えばいいだけ。企業側の求めるものはどんなことがあっても揺るがないが、あなたの求めるものは「妥協」という手法で寄り添うことができる。
これまで経験してきた仕事とは全くの異業種に飛び込んでくる方は本当に多いのだが、これははっきり言うと採用の可能性を限りなく狭めていることになる。確かに第二新卒の魅力として「社会に染まっていないので未経験の業種や職種でも成果が出やすい」とは言われているが、それは人材業界が第二新卒者や企業を煽るための宣伝文句に過ぎず、実際の採用の現場ではまず弾かれる対象になる。
転職は新卒採用と違って、採用も短期間だし採用方法も異なる。新卒は「伸びしろ」や「地力」を判断して採用するが、転職で評価されるのは「経験」のみ。企業側の気持ちになって考えればわかることだが、「未経験」の第二新卒者や転職者を採用するメリットは全くと言っていいほどない。
現実は残酷だが、仕事を辞めた人間に対して「かわいそう」「辛かったね」なんて同情はしないし、相当優れた人材でなければ「仕事を辞めた怠け者」「逃げ」という見方しかできない。
第二新卒として転職活動を行う上で理解しておくこと
自分が「第二新卒である」という意識を捨てる
「第二新卒のメリット」を考えるのは各企業の勝手。あなたがそれをアピールしても意味は無い。素直な気持ちで望むべし。
最低でも一つ、今の会社で成果を出す
何のためにそこにいたのか、具体的な成果がなければあなたを「欲しい」と思う会社は現れない。もちろん仕事を選ばなければ働き口はいくらでもあるが、今よりも良い待遇を望むのであれば、何か成果を出すこと。それができないなら最低3年はそこで働き、社会というものを勉強すべし。
同業種または同職種の仕事を選ぶ
第二新卒で「経験」をアピールすることは難しいが、それでも20歳を超えた大人であれば、たった数年でもそれなりの知識を得ているはず。それをわざわざゼロにして、全くの別業種・異職種に望むのは自分の首を締めるだけになる。
確かに違うことにチャレンジしてみたい気持ちもわかるが、その場合、今よりも良い待遇(特に給与面)を求めることはまずできない。チャレンジする場合はこの理解を最低限持っておくこと。
またあなたが思っているほど世間は狭くない。何が言いたいかというと、会社が変われば仕事の内容が同じでも全く気分が変わるもの。実はストレスになっているのは職種ではなく、その会社であることがほとんどなのだ。固定概念を捨ててこれまでの経験を存分に活かした方が採用の確率は格段に上げることができる。
どの転職エージェントを使えばいいか
最近では、「第二新卒に特化した転職エージェント」などと謳う人材会社が増えているが、これはその会社が「第二新卒の案件を多く抱えている」ことを意味する表現ではない。
いわゆる人材系の会社は今かなり飽和状態にあり、どの会社も「差別化」を図ろうと必死になっている。では大手は第二新卒案件を持っていないということなのだろうか?そんなことはないし、むしろその特化型の会社よりも求人数は多いだろう。目立つためだけに会社としての文言を変えているにすぎず、大手の手が及ばないところで勝負しているだけ。
当然そうした会社はノウハウも少なく、はっきり言ってエージェントを利用するより自分で転職活動をした方がスピーディー。具体的には、マイナビ、リクルートエージェント、DUDAなど大手の転職エージェントに登録すれば間違いないだろう。逆に、「◯◯に特化した転職エージェントです!」という会社は、単に抱えている案件の比率が高いだけで、絶対的な求人数は大手の足元にも及ばない。
※特化型転職エージェントのイメージ(数値は適当です)
大手 | 比較 | 特化型 |
10,000 | 求人数 | 500 |
3,000 | 第二新卒案件 | 300 |
7,000 | その他の案件 | 200 |
30% | 第二新卒案件の割合 | 60% |
このように比率だけ見れば特化型の会社の方が優れているように見える。しかし大手はわざわざ「第二新卒に特化している」と言わなくてもポテンシャルがあるし、求人数の母数が多いので特化型の会社を食っている。
第二新卒としてあなたが登録すべきはエージェントはどちらか、それはもう答えが出ていると思う。
第二新卒を目指す方に勧めたい転職エージェント
中でも私が推奨したい転職エージェントは【a href=”https://t.afi-b.com/visit.php?guid=ON&a=968723-L233290d&p=L675214w” target=”_blank” rel=”nofollow”>リクルートエージェント】。これは人材系企業最大手のリクルートが運営する転職部隊。繰り返しになるが、第二新卒だからといって特化型のエージェントに登録する必要はない。また特化型のエージェントの多くは、大手から案件を流してもらったり、そもそもリクルートやマイナビの子会社であることが多い。
従って、大手以外のエージェントに登録する意味というのは実はあまりない。
また転職活動というのは、新卒の就職活動と違って「一人で行うもの」ではなく、基本的に企業とのミスマッチを防ぐため転職エージェントと一緒に進めていくのが基本になる。もちろん、あなたが転職エージェントに対して支払うお金はゼロ(企業からの広告掲載料で運営されているため)。つまり、あなたが転職エージェントを使わないという選択肢がそもそもない。わざわざ一人で転職活動を進めるのは自殺行為と言える
もちろんマイナビやDUDA系列の転職エージェントでも構わないが、「確実に成功させたい」「失敗だけはしたくない」という方は【リクルートエージェント】に登録してサポートを受けるべきだろう。
なお、「ゆっくり自分のペースで転職活動をしたい」「転職は今すぐというわけではない」という方は転職サイト(エージェントではない)に登録しておくと準備としては最良。
転職サイト | 転職エージェント | |
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