革靴の履きジワは「個性」~直らない・修理できないのは理由がある

革靴をキレイに保つことは大切である。毎日愛着を持って手入れを行い、シワやカビを予防する。しかし、いくら丁寧に手入れを行っていても経年による履きジワだけは直すことができない。

ただ、革靴に履きジワができてしまうことを悪いことだと思ってほしくない。「ボロボロ」なのと「ヴィンテージ」の意味合いが異なるように、革靴にも長年履き尽くしたことによって出てくる「味」が存在する。私は新品の革靴を買う際に、この靴にはどんなシワが付くのか一つの楽しみにしている。そんな革ジワについて今回は紹介しよう。

革靴の履きジワはあなただけのもの

足のサイズ・足の幅が全く同じ人が、全く同じ靴をヨーイドンで履き始めても、履きジワが同じになることは絶対にない。

履きジワは靴底の減り方と同じように、あなたのクセをそのまま写したもの。ただ一つ言えることは靴底の減りは悪いクセだが、履きジワのクセは革があなたに合わせてできた良いクセだということ。

足のむくみ方、歩いている時間、業種、天気、人それぞれ置かれている環境や体質が異なるため、その靴の履きジワは唯一無二のものなのだ。履きジワを、直す・消すことができないという意味が分かってきただろうか。

履きジワは左右で異なる

人の足は左右で大きさや幅が微妙に異なる。履きジワをみればわかるのだが、靴のサイズ感として足の多大きい方に合わせるのが一般的であるため、少し小さい方に履きジワが出やすくなる。

だが、人によってはその履きジワを気にして新品の靴を履く前から、ボールペンなどでシワを作り左右対象にする人もいる。テクニックの一つでもあるのだが、個人的には、革靴の履きジワの楽しみ方をわかっていないのかと寂しい気持ちになる。確かに最初の内は左右対称になっているが、履いている内にシワは増えるため、履く前に入れたシワは無駄なシワになる。

シワの大きさはサイズ感で変わる

履きジワが深く入ってしまう人の特徴は、サイズが大きく足に合っていない人。足の甲と革靴の甲の部分までの距離があると、蹴りだす際に革靴が大きく屈曲して深いシワができてしまうのだ。

【POINT】
店舗で靴を買う場合は午前中に買う。夕方以降になると人の足はむくみ、朝より幅や足の甲部分が膨れ上がるからだ。その状態で合わせた革靴は、朝の状態で履くとブカブカになり通勤時に深い履きジワができてしまう。

朝にピッタリの靴を履くと夕方にむくんできてキツくなることを心配するが、それは最初だけの話で履いていく内に革が伸びて夕方にフィットするようになる。また、買う際のポイントとして、靴紐で調節できるように、靴紐に余裕を保たせておくこと。

革靴のシワと共に仕事をしてきて感じること

私が管理職に就いて感じたことだが、個性のない人は皆同じに見えてくるということ。奇抜的な個性を出すのではなく、常識の中で自分の意見や自分の考えを持っている人に惹かれる。

会議の場でも、社員たちにはそれぞれ言い合って自分の意見をぶつけてほしい。良い会議は意外にも喧嘩のように言い合うことが多い。子供の喧嘩のように思う人がいるが、子供こそ屈託のない個性の持ち主だ。年齢を重ねるにつれて、常識を知り、空気の読み方を知り、人は人に合わせるようになり、個性が失われていく。

あなたが、そんな個性のない人であるのであれば、革靴のように個性を爆発させてほしい。