高品質なスーツを着ればカッコいいというわけではない。重要なことは着こなしだ。
スーツを着こなすうえで大切なことはサイズ感である。紳士服店では、自分にピッタリと合うスーツが見つかるように、普段着る衣類のS・M・Lといった大まかな表記にはなっていない。
身長・胸囲・胴囲と3点測ったうえで選ぶパターンオーダーとなっている。場合によっては、スーツをオーダーメイドで作ってもらうこともあるだろう。それぐらいスーツはサイズ感に関して大切にしているのだ。
スーツを着こなすための正しいサイズ感と基礎知識
ジャケットの正しいサイズ感
- 肩幅は1cmほど指先でつまめるくらい
ジャケットを着て腕を下ろしたときに、肩と腕のつなぎ目部分を1cmほど指先でつまめるくらいがベスト。大き過ぎて、なで肩のように垂れてしまうと貧相で頼りない印象を与えてしまう。 - お尻が半分隠れるほどの着丈
ジャケットを着た際にお尻が半分ほど隠れることが理想。 - ボタンを締めてもお腹周りに余裕がある
ボタンを締めても、スーツとお腹の間に拳1つ分の余裕があると、座っても圧迫されない。 - 袖の長さは中のYシャツが1~2cm出るくらい
両腕を下ろしたときに、中のYシャツがジャケットの袖から1~2cm程度はみ出るくらいがベストだ。パターンオーダーの紳士服店であれば、肩を詰めることで袖の長さを調節できる。
パンツの正しいサイズ感
- ウェストはジャストサイズよりゆるめ
ウェストに余裕があっても、ベルトで調節できるがベルトに頼らなくても履けるサイズ感が丁度良い。食後にお腹が膨れることを考えても、お腹とパンツの間に指先が無理なく入るくらいのサイズにしておこう。 - 裾は立った状態で踵から2cm
踵から1~2cmほど上の長さにとどめるのが基本だが、いつも履いている革靴と合わせて試着するのが良い。軽く革靴にパンツの裾が1cmほどかかる程度にする。 - 足のラインが分かるもの
膝から足首にかけて細くなり、足のラインが見えるとスッキリとした印象を相手に与える。主にストレートと言われるパンツのサイズ感がビジネス場では好まれるサイズだ。
スーツを着こなすための裏技と基礎知識
スーツの色と靴下の色を合わせる
革靴・ベルト・バッグといった革製品の色を合わせることはご存知だと思うが、スーツの色と靴下の色を合わせるのも基本であることは実はあまり知られていない。着席時に足元から見える靴下が、スーツの色と大きくかけ離れていると足元が目立ってしまう。革靴・パンツ・靴下と3色異なる色だとまた騒がしくなる。
パンツはアジャスターでサイズ調節したほうがシワにならない
パンツを止める金具部分にサイズ調整できるアジャスターが付いていると便利だ。パンツの内部でサイズが調節できるため、パンツの上からベルトを無理に締めるときより無駄にシワができない。
帰宅時に毎回ベルトを取ってパンツをハンガーに吊るしておく
パンツにはセンタープレスという、中心の折り目があることが大切だ。足を長く見せる以外にも外見的にも誠実さが出る。そのセンタープレスを保持するために、帰宅する度にベルトを外してハンガーに折り目に沿って畳み吊るしておこう。最低でもその方法をするだけで1週間以上はセンタープレスが残る。
誰でもスーツを着こなすことはできる
高級なスーツや革靴なんて必要なく、誰でもスーツをカッコよく着こなすことはできる。逆に言えば、着こなし術も基礎知識もないまま値段の高いスーツに挑戦することはおすすめできない。
まずは格好からビジネスマンらしくするだけでも、身が引き締まる。スーツをカッコよく着こなせてから、革靴やバッグといったものに手を出してみよう。