【鏡面磨き】革靴をガラスのようにピカピカにする簡単手入れ

今回は、鏡面磨きについて紹介しよう。革をワックスと水で磨き、仕上げることを「ハイシャイン」という。まるで鏡のように光を反射して、見栄えはかなりキレイである。そんな「鏡面磨き」はしっかりとした知識がないと、手入れを誤り逆に革靴を痛めてしまう可能性もある。しっかり覚えた上で行ってほしい。

鏡面磨きの方法とコツ

鏡面磨きに必要な道具

ウエスorTシャツ

革靴を磨く用としてキメの細かい布を用意する。特にこの生地に関しては厚すぎない方が良い。後ほど紹介するが、ワックスを塗る際に薄めの生地の方が、人の体温が伝わりやすくワックスが溶けて伸びが良い。私は指に直接ワックスを付けて塗っている。汚いと思うかもしれないが、それぐらいワックスに体温が伝わりやすい方が良い。

ワックス

「鏡面磨き」のメインの道具は「ワックス」だ。靴の色に合わせたものを用意するのがベストだが、たくさんの色の靴を持っているのであれば、透明なノーマルのワックスで構わない。

レザー課長のワザ「固いワックスと柔らかいワックス」
ワックスを2つ用意できれば究極に仕上げることができる。新品のワックスを一週間フタを開けたまま放置して、水分を蒸発させた固いワックスを用意しておく。乾燥させたワックスはロウと油分の濃度が高まる。しかし塗り伸ばすのに時間がかかるため水と交互に使うのが重要になってくる。濃度が高い分、光沢も出やすいため、固いワックス・柔らかいワックスを状況に応じて使い分けていくと仕上がりに差が出る。

霧吹きスプレー

これは、水を付け過ぎないようにするために使うものである。一回のワックスに対して指先が少し湿るくらいに霧吹きを布にかける。このワックス→水を交互に行うことこそ、「鏡面磨き」の醍醐味である。

鏡面磨きの方法

汚れを落としておく

日頃行っている手入れで構わないので、先に汚れを落としておく。「鏡面磨き」は仕上げに過ぎないので汚れを落とすことはできない。

手入れの方法についてはこちらで紹介しているので、参考にしてほしい。

【永久保存版】猿でもできる革靴・ビジネスシューズの手入れ方法

2016年5月27日

ワックスを塗っていく

塗っていく部分は、つま先・踵・甲の立ち上がりの部分だ。多めにワックスを布に取り塗っていく。多めに塗っておくことで、カラカラだった状態に一気に栄養を与えることに繋がり仕上がりがキレイになる。少し革の表面に薄く油分が残りくらいが丁度良い。

なぜ塗る部分が「つま先・踵・甲の立ち上がり」だけなの?
鏡面磨きの基本はワックスで薄い膜を作り、光沢をだすことである。そのため、足の甲の部分のように常に屈曲する部分に行っても膜が割れやすい。また通気性を損なうワックスは部分的にやるくらいで構わない。甲の立ち上がりも磨いておくと、つま先から踵にかけて繋がりが生まれて全体に上品な印象を与える。

少量の水を交互につける

ワックスに水を足すことで伸びがよくなる。鏡面磨きで上手くいかない人のほとんどはワックス~水の順番を守らないことから始まる。水はワックスを伸ばすための潤滑油な目的で使われているだけである。ワックスを塗ってある部分以外に塗ってしまうと水シミになる可能性もある。

水よりアルコールを含んだもの方が良い?
ワックスを伸ばすために水分を含ませることが有効である。そのため、水分が含んであればいい。したがってアルコールが入った水であれば素早く蒸発するため、水シミの影響は受けにくい。

水とワックスを塗る際は弧を描くように順序よく磨く

「鏡面磨き」の成功の秘訣は、磨き方と順序である。

磨き方は、500円玉を目安に弧を描きながら磨いていく。ワックスで光らせるために繊維の流れに沿うように塗りこませることが重要である。しかし革の表面を見てもその流れは確認できないため、小さく弧を描きながら磨くことで繊維の流れに当てる。

次に順序である。光沢を出したいからといって同じ箇所を常に磨いていても上手くいかない。とくにこれは初心者にありがちなミスなので注意してほしい。重要なことは、つま先→側面→踵といった順序で行い、ワックスを塗布したところを一度空気に触れさせてその後水で磨く、これが光沢を生む秘訣である。

NGなブラッシングも山羊毛ブラシならOK

持っていないのであれば、やる必要はない。しかし究極を求めるのであればブラッシングを行うことで、細かい部分まで行き届く。少量の水をつけてワックスを塗った部分を磨いていく。

山羊毛ブラシだからこそできるワザ
驚異的に柔らかい毛質なので、革靴を傷つける心配はない。また、ワックスを塗った膜を傷つけることもない。代用可能なものとしてストッキングでも代用可能だが、男性が持っていることはないことだ。

最後は水で磨く

ワックスが馴染んできたことである程度は光沢は出てきているだろう。最後に少し水で湿らせた布を縦方向に磨くことで、繊維が縦の流れに強調されて見栄えとしてスマートに仕上がる。

やり過ぎには注意

「鏡面磨き」は女性でいうと「化粧」にあたるものである。革自体がキレイで特に磨く必要がないのであればやらなくていい。「鏡面磨き」は手入れの一つであるが、ケアではない。革自体のケアは靴クリームを塗ったりホコリを落とすことである。そもそもそのような手入れができていない革靴に行っても逆効果だ。逆にしっかりと手入れができている人には是非とも試してもらいたい。