スーツは摩擦に弱く、テカリやすい。特に擦ったりしていなくても、着ているだけで圧着によって生地がテカってしまう。特にテカリやすいのが臀部(お尻)で、デスクに座り続ける内勤仕事の方や外回りの方でも、圧着によってテカってしまう。
テカリは悪化すると破れる原因になるため、早めに対処しておこう。
スーツのテカリを除去・予防する方法
スーツを2日に1回休ませる
パンツは座っているときに熱がこもり、蒸れやすいため汗が染み込みやすい。特にウール100%のスーツは吸水性に優れているものの水に弱い。速乾性もあり、すぐに乾いてしまうため「まだ大丈夫だろう」と繰り返し着てしまう方も多いが、染み込んだ汗の菌が取り切れていない。そのまま連続してスーツを着てしまうと、さらに菌が増殖し、臭いや生地を傷める原因になる。
そのためスーツは生地内部まで乾かし、殺菌させるためにも2日に1回休ませるようにしよう。
パンツは見た目以上に重量があり、ハンガーにかけている間に重力で生地が伸びてしまう。ハンガーに折ってかけると、折った面にパンツの重みが集中し、生地が潰れてしまう。ハンガーにかけるとしても、ベルト部分を洗濯バサミで挟んで吊るしておこう。
毎日ブラッシングする
座ると体重が臀部に集中し、パンツの生地が潰れてテカリやすい。スーツを脱いだ後、繊維の流れに沿ってブラシをかけ、整えることで空気が入り込みやすくなる。潰れた生地に空気が入ると膨らみ、元の形に戻ろうとするため、生地のテカリがなくなっていく。
ブラシは天然毛で硬い豚毛ブラシがおすすめだ。化学繊維のブラシでブラッシングすると静電気を起こし、埃が付着しやすくなる。スーツに使われている生地自体(ウールやポリエステル)は摩擦に弱いが、細かくしっかり作られている。ブラシも硬くコシのある方が繊維を整えやすい。
スチームアイロンをかける
スチームアイロンをかけることで、生地が温められて繊維が元の形に戻ろうとする。このときにアイロンを直接生地に当ててしまうと、熱で繊維が溶けてしまう。そのため、あて布をして蒸気だけをかけよう。
アンモニア水で無理やり繊維を膨らませる
アンモニア水を約10倍に薄めて、コットンに染み込ませスーツのテカリ部分に付ける。
アンモニアには繊維を膨張させる効果があり、塗布することで潰れている繊維を元に戻してくれる。アンモニア水には揮発性があるため、塗布してから約10分ほどでアンモニア独特のニオイは消えるので安心して使える。
仕上げにスチームアイロンをかけて蒸気で温めることで、潰れた繊維が戻りやすくなる。
自分でテカリを除去する方法の中で、アンモニア水を塗布することは最も効果が高い。もしアンモニア水を使っても、テカリを除去できなければ、自分で落とすことはできないと思って専門業者に頼もう。
スーツはテカリを抑えれば長持ち
スーツは擦ったりしなくても、着ているだけで生地が潰れてテカる。摩擦で生地自体が溶けたテカリを直すことは難しい。しかし圧着により生地が潰れたテカリなら、手入れによって除去することができる。スーツを長持ちさせるためには、日々の手入れでテカリを抑えることが大切だ。
またスーツはセットアップでしか売っていないため、後からパンツだけ買うことは難しい。スーツを買う最初の段階で2パンツで買っておくことがおすすめだ。